二輪車のMTとATの違い
自動二輪車にもMT車とAT車があり、操作方法や車体形状などいろいろな違いがあります。MT車とAT車の両方を乗りわける機会のあるライダーは、それぞれの特性をよく理解して乗りこなすことが大切です。 MT車は「マニュアル・トランスミッション車」、AT車は「オートマチック・トランスミッション車」の略称です。
ここではAT車はスクーター型が主流になっていますので、スクーター型AT車の特徴をお知らせします。
しくみの違い「動力伝達装置」
MT車とAT車のもっとも大きな違いはMT車はクラッチ操作とギアチェンジが必要な事です。MT車はエンジンで発生した動力がクラッチ→トランスミッション→ドライブチェーン→リヤホイール(後輪)へと伝わります。左手と左足でクラッチとギアチェンジを操作するしくみです。AT車は、クラッチとギアチェンジが自動遠心クラッチと無段変速装置(CVT)によって自動化されています。そのためMT車では右足で操作していた後輪ブレーキを左手で行うことにより、AT車では両足はライディング操作から解放されます。
運転姿勢の違い
AT車は両足が自由になり、その車両のスタイルから運転姿勢にも違いがあります。
MT車の正しい運転姿勢
ステップバーに土踏まずをのせて、足の裏はほぼ水平に。両ひざで燃料タンクを軽くはさむニーグリップの姿勢にするとバランスがとりやすくなります。つま先をやや内側に向けると自然に二ーグリップができるようになります。
AT車の正しい運転姿勢
ハンドルを左右に動かしても肩やヒジに無理がかからず、しっかり着座できるポジションに座ります。バックレストが調整可能な場合は、シートのバックレストにしっかり腰をあてて着座するよう調整します。足はステップボードに足の裏全体をのせて、自然とヒザがまがる程度が基本姿勢です。
AT車はシートの前に燃料タンクがないのでMT車のようにニーグリップの姿勢でバランスをとることができません。つま先をやや内側に向けて両ヒザを閉じるような感じでシートの先端を内ももではさむようにすると安定した姿勢がとりやすくなります。
AT車の安全な乗り方
AT車は、仕組みや形状が違うので、MT車と同じつもりで乗ると違和感を覚えることもあります。AT車の安全な乗り方をチェックしましょう!
ホイールベースが長い
AT車は、車高、タイヤ径に比較して、ホイールベース(前後輪の車軸の間隔)が長くなっています。MT車と同じつもりでいると小回りが難しく感じることもありますので注意しましょう。
タイヤ径が小さい
AT車は、タイヤ径が小さくなっています。MT車のようにニーグリップでの乗車姿勢がとりにくいので、特に荒れた路面ではバランスをとりづらいこともあります。ご注意ください。
低速走行をするときは
AT車で低速走行をするときは、アクセルは少し開いた状態にし、後輪ブレーキの操作で速度を制御しましょう。AT車は、アクセルを緩めてしまうと、後輪に駆動力が伝わりにくくなるため、バランスがとりづらくなります。
坂道を下るときは
AT車で坂道を下るときは、前後輪のブレーキで速度を制御しましょう。アクセルを緩めても、MT車ほどエンジンブレーキが効かず、オーバースピードになるおそれがあります。
急発進はやめましょう
AT車に限らず、急発進は危険な行為です。クラッチ操作のいらないAT車はスロットル操作を慎重に。軽い小型車ほど油断しがちです。消耗部品の早期摩耗にもつながります。注意しましょう。
AT車とMT車の特性をよく理解して、楽しく、快適に、そして安全に乗りこなしましょう。
※AT車は転倒すると地面とステップボードの間に足をはさまれやすいので注意しましょう。